Antennaのかたまり

平安時代が舞台の恋愛小説を連載しています。ほか、短編や日々の雑記、読書録なども書いてます。小説サイト開設しました!古代日本が舞台の恋愛ファンタジーを連載中。(http://acluster.tumabeni.com/)

きみを忘れない

SS・短編CM(0) TB(0)


 冷たい瓦礫のうえで、人でも機械でもない、ふしぎな歌声。
 「何が歌っているの?」
 聞きなれぬその響きに、僕は尋ねた。

 「歌い声じゃないわ、楽器の演奏よ」
 歌声がやんで、綺麗な声が聞こえた。くすくすと笑いさざめくのは、鈴を振るような高い声。やがて、瓦礫のてっぺんからひとが顔をのぞかせる。少女だった。
 「……楽器ってなに?機械が歌っているの?」
 彼女は苦笑して、まぁそうかもねとひとりごちた。
 機械のものでない返事をきいたのは、そういえば久し振りだったと後になって気がついた。


 

そして空を

SS・短編CM(0) TB(0)

 風景の記憶とは、不思議なものだと思う。
 昔住んでいた家から見た夕焼け。近所の児童公園。こっそり落書きをした学校の階段。
 たとえその場所が壊されて、別の建物があったとしても。見慣れた風景は写真を繰るように、鮮やかに詳細によみがえる。

 

Calling

SS・短編CM(2) TB(0)

 電話なんて、するんじゃなかった。
 「……そっか。うん、……うん、…………それじゃ、また」
 受話器のマークのボタンを押したら、長くて重いため息が出た。ケータイの終話ボタンはいっそ、ため息のスイッチかもしれない。そう思うぐらい、良いタイミングだった。

Calling

 

朝のリレー

SS・短編CM(3) TB(0)

 目を開けたら、まぶしい光が射してきた。強く目をつぶると、まぶたの血管が赤く透けて見える。
 ため息をついて、呆然とまた目を開けた。つまりは、寝過ごしたのだ。



 

真昼の月

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地球において、真昼に月が見える頃。月においては…。


 月。
 地球が有する、唯一の衛星。
 自転周期は27.32日で、公転周期と全く同じ。月は常に同じ面を地球に見せながら回っていることになる。
 朔望月、つまり満ち欠けの周期は29.53日。
 月面上のコロニーでは、「朝」が訪れてから、「夜」になるまでに2週間かかる。
 長いながい昼間と、なかなか明けぬ夜。

 夕依[ゆえ]はそんな夜が好きだという。

 

遠浅

SS・短編CM(2) TB(0)

 運と人こそが、人を生かす。

 「どこまで、行くの?」
 「……考えてない。行けるところまで」

 「『行けるところまで』って……そっち、海じゃん」
 「そうよ。それがどうかしたの」
 「だって、これから日が暮れて冷えるよ。水に長いこと浸かってたら風邪ひくし」
 「構わないわ。そもそも、見ず知らずのあなたに、そんなこと心配してもらわなくたっていいし」
 「うん、まあ……それは、そうなんだけどさ」

 「だって要は、風邪をひくよりも先に、楽になれればいいだけのことでしょう」
 「……」

 

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プロフィール

紫藤ゆとり

Author:紫藤ゆとり
モノカキのはしくれとなって、はや?年。
まだまだ精進あるのみ。。。
ブランクはありつつも、なぜか書くことをやめられない。
そんな、なぜか理系の女子です。
(4月から大学院生やってます)

好きな作家は 恩田陸、加納朋子、伊坂幸太郎、本多孝好、などなど多数。

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